英検準二級に、皆さんはどんなイメージを持っていますか?「三級と二級の間なんだからそんなに難しくないでしょ」と思っている方はいませんか?
確かに、名前は準二級です。英語で書くとGrade Pre-2です。「準」という漢字には「なぞらえる・備える・そのものに次ぐ」という意味があり、また、「pre」には「あらかじめ・〜以前の」という意味があります。
ですから「二級に備えてあらかじめ受ける二級に次ぐ難易度の試験」と捉えるのは間違いではありません。
しかし、三級と準二級のレベルには大きな差があります。それこそ、「準ってなんだよ……」ってなるくらいの差があります。「三級に受かったから!」と舐めてかかると受かりません。
ここでは英検準二級の難易度と合格ライン、対策方法を紹介します。英検準二級を攻略しましょう!
1.英検準二級の難易度
まず、英検準二級の難易度を見ていきましょう。三級と比べてどれくらい上がるのでしょうか?
英検協会では三級は中学校卒業程度、準二級は高校中級程度とされています。高校中級は高校2年生程度と捉えれば良いと思います。「別に高校の英語の授業もさほど中学校と変わらないからいける!」と思った方、大間違いです。
英検三級の合格率は大体 53〜55%です。受験者の半分以上が合格します。しかし、英検準二級の合格率は 35〜36%です。ガクッと合格率が下がり、6割以上が不合格となります。
かなり難しくなっていますね。もちろん、こうなるのにはいくつかの理由があります。
まずは単語数です。三級では合格するために 1250〜2100語程度知っている必要がありますが、準二級になると 2600〜3600語程度知っている必要があります。大幅に増えますね。尚、英検準二級では4000語程度知っていれば問題文の英語もほぼ理解できます。
また、新しい問題形式として長文の空所補充が登場します。反対に並び替え問題が消えます。「苦手な並び替えがなくなってラッキー!」と思ったそこのあなた、本当に喜べることでしょうか?
実は、この長文の空所補充で躓く人は多くいます。なぜなら、読解力と語彙力の両方を問われるからです。文の流れを掴めないとどれも正しく思えてきますし、語彙を知らないと選択肢の絞り込みさえできません。結構恐ろしい問題なんです。
さらに、英作文がエッセイ形式となるため、形式を間違えると得点が伸びません。エッセイの書き方はまた詳しく説明します。学校で教えてくれるといいんですけどね……大抵の学校は教えてくれないんですよね……。
そして、筆者が一番の要因だと思うのはリスニングの音声が1回しか流れないことです。もう「一回聞き流したから次を集中して……」なんてことはできません。聞き流したら即アウトです。
これらの理由によって、英検準二級の合格率はガクッと下がるのです。「準」なんて漢字が付いていますが、三級と二級の間では全然ありません。むしろ準二級ですから二級寄りなのです。
2.英検準二級の合格ライン
いきなり難しくなる英検準二級ですが、準二級の合格ライン(必要な得点率)はどれくらいでしょうか?ちなみに英検三級では64%前後です。
英検準二級の合格ラインは 65%前後です。大幅に合格ラインが上がるわけではありません。総合得点で65%を超えれば良いので、リーディングが50%だったりしても、リスニングで90%取れば合格できたりします。
とはいえ、やや余裕を持って70%程度は得点できた方が良いでしょう。英検準二級が余裕で合格できるなら、二級は語彙力さえ鍛えれば合格できます。
なぜそう言えるのかというと、準二級で主要な文法はほぼ出揃うからです。二級以降は構文などの勉強は必要かもしれませんが、新たに○○法が加わることはないに等しいです。準二級以降は語彙力の勝負となってきます。
ですから、スムーズに次の級を合格するためにも英検準二級は余裕を持って合格できるようにすることをオススメします。
3.英検準二級の対策方法
英検準二級はどのように対策すれば良いのでしょうか?リーディング、リスニング、英作文、面接に分けて対策方法を紹介します。
①リーディング
リーディングで必要なのは語彙力と文法力と慣れです。
「この筆者は語彙力語彙力うるさいなぁ」と思っている方がそろそろ出てきはじめそうな気はしますが……それでも言います。語彙力は大切です。語学の命です。
語学の勉強においては、何よりもまず語彙力です。英検準二級の単語帳を何度も繰り返しましょう。その際は熟語にも目を通してください。
というのも、英検準二級では大問1の問われる内容が単語10問、熟語7問、文法3問となっているからです。 7問は大きいですよね。しっかり熟語も学習しましょう。
また、会話問題は語彙力があり、会話の流れがつかめれば解くことができます。過去問を解いて、間違えたところを押さえてしまえば大丈夫でしょう。
文法に関してですが、まず一通り確認したのち苦手なところを潰していきましょう。特に高校生以下が準二級を受ける場合は、中学校では習わない仮定法や関係副詞などを重点的に学習しておくと良いです。
文法そのものが問われる問題は3問でも、文法は長文を読むのに必須の要素ですから、きちんと学習してください。文法がわかっていないのに長文問題を解いても力は伸びません。
そして、最後は慣れです。三級までにはなかった新しい問題形式もありますし、長文も掲示・案内の問題がなくなりEメールと説明文になります。設問自体は素直なので読めれば解答できますが、読むことに慣れていないと時間内に読みきれずに勘でマークせざるを得ないことになります。
問題形式・時間の制限に慣れるためには時間を測って過去問を解いたり、予想問題集を解くことが大切です。英検1〜2週間前から本番形式の問題演習に取り掛かり、慣れることをオススメします。
②リスニング
リスニングで必要なのは集中力と慣れです。なぜなら、一番の鬼門は放送される問題ではなく放送される回数だからです。
英検準二級では、いきなり 問題の放送回数が1回になります。いえ、英検三級でもリスニングの大門1は1回しか放送されませんが、準二級ではスピーチまでもが1回しか放送されません。これが結構厳しいのです。
また、リスニングの大門1では三級までは掲載されていたイラストがなくなります。いきなり会話を聞かされて状況を把握しなければならないのです。絵に描かれていた会話をする2人の周囲の様子がわからなくなるため、問題によっては正答しにくくなります。
1回しか問題が放送されないとなると、「聞き逃してはいけない!」と気負いすぎて焦ります。心に余裕を持って本番を迎えられるように慣れましょう。
③英作文
2017年から追加された英作文の問題ですが、書き方を知れば得点できます。反対に書き方を知らないといくら指定語数書いても得点できません。というのも、英検準二級の英作文はエッセイを書かなければならないからです。
また、英検三級では25〜35語が目安でしたが準二級では50〜60語書く必要があります。限られた時間でこれだけの語数を書くのは慣れが必要です。何度か書いて、英語の先生などに添削してもらいましょう。
さて、鍵となるエッセイの書き方ですがその前に英検準二級で課される問題がどのようなものか確認しましょう。準二級で課されるのは「正解のない問い」です。Yes、Noで答えられるような単純なものではありません。
ですから書き方としてはまず、自分の意見を述べる必要があります。その後に、その意見の理由と具体例を述べます。最後に、再度意見を主張してエッセイを終えます。
尚、意見と具体例を1セットとして2セット述べると丁度良い文量になります。意外と50〜60語というのは長いのです。また、エッセイを書き始めてすぐは「何を書けばいいの……?」となると思います。
その時は意見の賛成・反対などの結論ではなく、理由や具体例から考えましょう。そうすると意見が固まりやすくなります。難しい文や、必ずしも自分の本心を書かなければいけないわけではありません。この際、嘘も方便ですので書けそうなものを書きましょう。
また、意見がブレると即減点となるため、不安ならば問題用紙に構成メモを書くとよいでしょう。ざっくりで構いません。一度日本語の状態で整理することで英文も書きやすくなります。構成メモを書くのも大切なテクニックです。
そして、エッセイでよく使う表現を覚えておきましょう。これは準二級以上の英検の英作文でも使います。以下のURLではエッセイで使う表現がまとめてあります。
この中から「これなら自分でも使えそう」と思ったものを覚えましょう。必ずしも全てを覚える必要はありません。同じことを言うのにいくつか表現がある場合は、そのうち1つを完璧に覚えれば大丈夫です。
④面接
2次試験の面接は1次試験を突破できる英語力があれば突破できます。この点は英検三級と変わりありません。質問も三級と変わらず、黙読した後に音読し、No.1ではパッセージについて、No.2、3ではイラストの状況説明、No.4、5では自分の意見が問われます。
ただ、一次試験がかなり難しくなっていることからもわかる通り、準二級の面接は簡単とは言えません。以下で英検三級よりも難化した部分を紹介します。
❶パッセージの語数
英検三級に比べて、英検準二級では20秒で黙読するパッセージの語数が増えます。三級では30語程度ですが、準二級では50語程度というように、1.5倍に増えます!
パッと見て文の流れを把握し、加えて単語の発音が出てくるかが難しいところです。単語を見て意味がわかっても「あれ、どう読むんだっけ……?」「アクセントどこだっけ?」となると焦りますし、そのまま読めずに止まってしまうことも……。
日々語彙力を増やす時は、絶対に音声も一緒に聞いて覚えましょう。アクセントの位置で名詞、動詞が変わってしまう単語もあります。発音もしっかり確認しましょう。
❷答える分量
No.2のイラストの状況説明で答える内容が増えます。三級では1つのイラストにつき1つ描写しておけば合格できますが、準二級では1つのイラストにつき複数の描写が必要です。
大抵のイラストには5人の人が載っていることが多いので、少なくとも3つは答えられると良いでしょう。全部描写してももちろん良いです。
No.3のイラストの状況説明問題は、2つの文を用いて答えます。2つの文というのは、「その人がしている行動」と「その理由」です。時には「行動」を2つ並列で答えることもあります。
The boy wanted to throw away a enpty can, but he noticed the trush can was full.
訳:男の子は空き缶を捨てたいと思いましたが、ゴミ箱がいっぱいであることに気づきました。
(出典:平成25年度第3回試験カードAのNo.3、解答例は筆者作成)
訳:スタジアムの階段で、女の子は携帯電話を落としたので、それ(=携帯電話)が壊れていないか心配に思っている。
(出典:平成25年度第3回試験カードBのNo.3、解答例は筆者作成)
一文ではなく複数の文章で答えなければならないのが三級との違いです。時制や人称に気をつけて、落ち着いて解答しましょう。
❸理由が聞かれる
三級の面接では、聞かれたことに結論だけを答えておけば良かったのですが、準二級では結論を答えた後に「Why?」や「Why not?」と聞かれます。②にも繋がることですが、結果的に2文以上で答えることになります。
理由が聞かれるので、理由から答えは考えた方が良いです。「自分の本心は○○だけど理由が答えられない……」という時は、嘘も方便なので自分の本心でない意見で理由が言いやすいものを言いましょう。受かれば良いのです。
また、英作文とは違い、理由に関してそれほど論理的な整合性を問われません。もちろん、Noと答えたのにYesの理由を言ってはいけませんが、そうでないならば多少ズレても問題ありません。
とにかく答えることが大切なので、嘘は方便ですし細かいことは気にしなくて大丈夫です。何度も練習してから、自信を持って面接に答えましょう。
以下は面接対策の動画です。参考にしてください。
4.まとめ
- 英検準二級は二級寄りの難易度。三級に比べると問題がかなりレベルアップする。
- 合格ラインは65%だが、もちろん余裕を持って合格した方が良い。
- 長文の空所補充が出題される。躓く人が多いのでしっかり対策しよう。
- リスニングでの問題の放送が1回になる。集中して聞く必要がある。
- 英作文はエッセイ形式。書き方を確認しよう。
- 面接も三級より答える分量が増え難化する。しっかり練習しよう。
英検準二級について書いてきましたが……三級とは全然違いますね!本当、「『準』って何……」という感じですね。しっかりと対策方法を勉強して、本番で実力を発揮しましょう!
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