英検3級。中学生にとっては一つの目標でしょうし、実際に高校受験で評価される級です。高校生でも、中レベルの英語が身についているか確かめるのに有効な級になります。
英検3級はそれまでの5級、4級とは違って面接も加わり、合格がより難しくなります。英検3級の合格率(面接含む)は 約53〜55%です。受験者全体の約半分です。英検4級の合格率は約69〜70%とのことですから、どれだけ難しくなっているのかわかりますね。
でも、英検3級は一定の対策をすれば誰でも突破できます。英検3級がどんな試験なのか、どうすれば合格できるのか。3級を大解剖して、対策方法を考えていきましょう!
1.英検3級を大解剖!合格ラインは?
英検3級とはどのような試験なのかを大解剖していきます。英検は敵ではありませんが、敵を制するには敵を知る必要があるように、3級を制するためには3級を知る必要があります。一つ一つ確認していきましょう。
・必要な単語数は 約1250〜2100語
・試験料は
-
- 準会場(学校など)→3900円
- 本会場→4900円
【1次試験について】
・リーディングは短文の空所補充15問、会話の空所補充5問、長文の内容一致10問。計30問。
・リスニングは会話の応答文選択10問、会話の内容一致10問、文の内容一致10問。計30問。
・リーディング:リスニング=1:1
・英作文は25〜35語の英文で聞かれたことに対する答えを書く。1問。
・合格ライン(必要な得点率)は64%前後。
【2次試験について】
・面接試験はパッセージを30秒黙読した後に音読、パッセージへの設問に回答するのが1問、イラスト中の内容説明が2問、身近な事柄に関する質問に回答が2問。計6問+音読・態度。
・合格ライン(必要な得点率)は約61%前後。
筆者が受けた頃よりも受験料が高くなっていてびっくりしましたが、筆者が3級を受けた2013年当時は英作文がありませんでした。受験料の高騰はきっとその分の上乗せでしょうね……。仕方がありません。
英検3級はリーディングとリスニングの問題数が同数なので、リスニングが得点源にできれば合格しやすいでしょう。なぜなら、 3級のリスニングは一部を除き2回放送されるため、コツを掴めば正答を導きやすいからです。
正直、1次試験が突破できる英語力があって、緊張とプレッシャーに負けなければ2次試験は突破できるんですよね。面接は少々たどたどしい英語でも、挨拶と質問に答えることができれば合格しますから。
3級以降の英検に共通することなのですが、2次試験に進むには1次試験に突破しなければならないため、 1次試験が英検合格の鍵となります。というわけで、以下では1次試験に置きながら対策方法を解説していきます。
2.1次試験の対策方法
英検3級の合格の鍵を握る1次試験はどのように突破すれば良いのでしょうか?問題形式ごとに紹介していきます。
1.短文の空所補充
一番簡単そうで、実は難しいのがこの短文の空所補充です。3級の中で必要とされる語彙レベルが最も高く、得点するのが難しいとされています。
対策方法としては、まずは語彙を覚えることです。単語帳を見るのが一番手軽で効率の良い方法でしょう。中学校で習う単語は絶対出てきますので、教科書を復習するのも1つの手です。
文法に関してですが出題数は3問ですから、最悪間違えても支障はそれほどありません。とはいえ、捻りのない素直な問題ですから、きちんと文法の知識があれば確実に解けます。得点源にした方が良いのは確かです。
中学校の教科書の例文を確認したり、3級の対策教本に載っている文法を確認しておきましょう。過去問で間違えた文法をきちんと復習しておけば、本番は大丈夫だと思います。
2. 会話の空所補充
おそらくリーディングの中では最も得点しやすいのが、この会話の空所補充です。文脈を掴む力と単熟語力が必要とされるとはいえ、他の問題形式に比べれば難易度は高くありません。
短文の空所補充の正答率が上がっていけば、必然的にこの会話の空所補充の問題の正答率も上がります。過去問を解いて間違えた表現、知らなかった表現を身につけていけば全問正答も夢ではありません。確実に得点しましょう。
3.長文の内容一致
長文の問題形式は3つあります。掲示・案内(A)Eメール(B)、説明文(C)の3つです。問題数はAが2問、Bが3問、Cが5問の合計10問です。
長文では単語力、文法力、文脈把握、読解力が試されるため、最も難しい問題だと思うかもしれません。しかし、前述のように単語は短文の空所補充の方が難しいです。単語がわかれば文章は理解できますし、質問自体は難しくないので激ムズというわけではありません。
解き方としては、最初に質問を読んでから本文に移り、答えを探しながら読みます。先に本文を読んではいけません。というのも、英検は試験ですから時間制限があります。本文を読んで質問を読んでもう一度本文を読んで……時間がかかりますね。質問→本文の流れでいきましょう。
また、質問文は読んでも選択肢は先に読んではいけません。本文より前に選択肢を読むことで変な先入観を持ってしまうと混乱します。これは絶対にやめましょう。
4.英作文
英検3級の英作文は2017年の第1回試験から導入されました。よって、筆者は残念ながら3級の英作文の試験は受けたことはありません。
ただ、英検2級や準1級の英作文問題を受けた感じから言うと……英検の英作文の採点はやさしいです。解答の基準さえ満たしていればそれなりの点数をくれます。
英検3級の試験では25〜35語を目安に、質問に対して自分の考えと、その理由を2つ述べなさいという問題が出されます。そして、解答は内容・構成・語彙・文法の4つの視点から採点します。各視点が0〜4点で採点され、英作文の最大合計点は16点です。
では、この4つの視点をどのようにしてクリアしていけば良いのでしょうか?各視点ごとに解説していきましょう。
まず、内容に関してですがこれは与えられたトピック(話題)に対して適切な解答を書いているかが判断対象です。トピックに対して結論を1つピシッと決めましょう。曖昧な結論は書かない方が無難です。
次に、構成に関してですが英語はせっかちな言語で、すぐに結論を知りたがります。日本語で書くときは結論が最後に来ることが多いですが、英語で書くときは一番はじめに結論を書きましょう。結論→理由が大原則です。英検が公開している模範解答もそうなっていますから、結論→理由で書いておけばひとまず大丈夫です。
そして、語彙ですが無理に難しい単語を使う必要はありません。自分が知っている語彙で表現しましょう。 「○○って書きたいけど単語がわからない……」と言う時は別の言い方ができないか考えましょう。フリーズして時間が足りなくなることだけは避けましょう。
最後に文法ですが、これも意味が伝われば良いので無理に難しい文法を使おうとしなくても良いです。全て中1レベルの文法で書いたとしても間違いがなく、採点者に意味が伝われば満点をもらえます。簡単な文章で大丈夫ですよ。
英作文で注意しなければならないのはケアレスミスです。三人称単数のsや過去形のed、冠詞などを書き忘れないようにしましょう。筆者はよくやらかすので、絶対に1回は見直すようにしています。
英検2級以上になると文章量が多いので、1つくらいのミスならばそこまで悪印象になりませんが、3級は目安が25〜35語と短いです。そのため、 1つのミスでも悪印象に映ることもあります。気をつけましょう。
以下は英検3級の英作文を解説した動画です。
5.会話の応答文選択
会話の応答文選択は全10問です。イラストが載っており、イラスト中の男女の会話が流れてきて、その応答に適切な選択肢を選びます。
会話の流れは①1人目の発言(1回目)→②2人目の発言(1回目)→③1人目の発言(2回目)→④2人目の発言(2回目)であり、④へ応答するのに適切な選択肢を選びます。男女ペアなので1人目2人目を間違えることはないでしょう。
英検3級では、この会話の応答文選択問題のみ音声の放送が1回になります。5級・4級と同じように2回放送されると思って気を抜いてはいけません。集中して聞きましょう!
6.会話の内容一致
会話の内容一致問題も10問出題されます。会話の応答文選択問題と同じような流れの英文が放送された後に最後に質問文が放送され、問題用紙に印刷されている選択肢の中から答えを選びます。
この形式の問題では、できれば先に選択肢を読んでおきたいです。というのも、選択肢を見ることで質問の内容が予想でき、答えに当たる部分を集中して聞くことができる場合があるからです。
例えば、TusedayやNext monthなど時を表す言葉が並んでいれば、質問はWhenで聞かれるでしょうし、会話の中で時の話題が出た時は注意です。同様にCoffee shopやHospital、Supermarketなど場所ならばWhereを使った質問で、場所の話題が出た所を注意して聞けば良いでしょう。
尚、この問題は会話が2回流れますから落ち着いて解答しましょう。1回目で答えを迷ったら、2回目を集中して聞きましょう。
7. 文の内容一致
文の内容一致は、上記の2つとは違い1人のスピーカーによるスピーチを聞いて最も適切な選択肢を選ぶ問題です。問題は2回放送されます。
この場合も先に選択肢を読んでおくと解答しやすいので、余裕があれば選択肢を見ておきましょう。スピーカーが1人の場合、単調なので少々眠くなることがあります。集中力を切らさないことが大切です。
8.時間配分
一次試験の時間配分はどのようにすれば良いのでしょうか?目安を紹介しておきます。英検3級の1次試験リーディングの制限時間は50分です。「結構短い」と感じる人もいると思います。必然的に英作文と長文問題には時間がかかりますから、それ以外の問題をどれだけ早く終わらせるかが鍵となります。
時間配分としては、
・短文の空所補充は8分(1問当たり30秒程度)
・会話文の空所補充(1問当たり30秒程度)
・長文はAが4分、Bが6分、Cが10分で計20分
・英作文15分
合計46分で解いて、4分ほど見直しに費やすと良いと思います。
とはいえ、練習すれば長文を読むのも速くなりますし、語彙力がつけば空所補充問題は1問10秒くらいで解けるようになります。上記はあくまでも目安です。自分に合った時間配分を見つけてくださいね。
9.得点配分
合格ラインである正答率64%を超えるためには、どこでどれくらいの点が取れれば良いのでしょうか?もちろん、これは人によって得意な分野が違うので確実なものは提示できませんが、考えられる分野別目標正答率を提示しておこうと思います。
【リスニングが得意な場合】
リスニングが得意な人は、思い切ってリスニング分野の目標正答率を90%にしてみましょう。この場合、リーディングや英作文の分野で最低でも55%取れれば正答率64%を超えることができます。
特にリーディングが苦手なら、英作文で得点しましょう。英作文は比較的採点が優しいので60%以上を目指し、リーディングでの目標得点率を45%以上にすると楽なのではないかと思います。
【リーディングが得意な場合】
リーディングが得意なら、リーディングでの目標得点率を80%にしましょう。そして、リスニングと英作文での得点率を60%にすると良いと思います。
リーディングが得意なら、英作文もそれなりに書けると思います。というのも、英作文は語彙と文法を知らなければ書けませんが、リーディングができるならそれらが一定以上は身についていると言えるからです。英作文で70%得点できると、合格が近づきます。
中学2年生以下で英検3級を受けるならば、リスニング重視の得点率の方を参考にした方が負担が少ないと思います。実際、筆者も中学1年生の時に英検3級を受けましたが、リスニング重視して対策し合格しました。
反対に、高校生や社会人の方の場合はリスニングが苦手な人が多いです。特に社会人の方は理解力はありますが、耳が音を捉える柔軟さが衰えているので英語が聞き取れるようになるまで、子供に比べて少し時間がかかります。リーディング重視の方が負担が少ないでしょう。
ここではざっくりリーディングとリスニングで分けて目標得点率を示しましたが、そのリーディング、リスニングの中でも得意分野、苦手分野があると思います。自分が本番でどれくらい取れそうか考えながら、目標を決めて対策をしましょう。
また、正答率64%はあくまでも目安です。64%はギリギリのラインですので、全体の正答率は70%を目標にしたいところです。もちろん100%でも良いです。目標は高く持ちましょう。
3.2次試験の対策方法
英検3級の2次試験は、難易度としては1次試験が解ければ合格レベルです。とはいえ、2次の面接試験が始まるのは3級からなので、不安に思う人も多いのではないでしょうか?
面接の流れは、総合対策教本や事前対策問題集に書いてあります。一応ざっくり確認しましょう。
1.入室
2.面接カードを渡す
3.着席
4.受験級や名前などを確認
5.問題カードを受け取る
6.パッセージの黙読(20秒)
7.パッセージの音読
8.質問1(パッセージについて)
9.質問2、3(イラストについて)
10.質問4、5(受験者自身について)
11.質問が終わったらカードを面接官に渡す
12.退室
一連の流れを先生や友人に面接官役をしてもらって何度も確認しましょう。しっかりアイコンタクトを取り、はっきりと発言することが大切です。1人で練習する時はぬいぐるみを相手にすると良いでしょう。
また、本番で言葉に詰まってしまってもとにかく何か言いましょう。 「Let me see……」や 「Well……」で繋いだり、最悪「あー」でも「えー」でも良いです。とにかく「何か発言する気がある」ことを示しましょう。黙りこくってしまうのだけはやめましょう。
また、去り際に 「Have a nice day!」と言われることがあります。その際は 「You too!」と返すと良いでしょう。筆者がこう返した時、スコアが33点満点中30点でした。これが原因かはわかりませんが、とりあえずそう返した時の面接官の反応が良かったのは確かです。
4.まとめ
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- 英検3級はリーディング、リスニング、英作文、面接の構成
- 1次試験は設問ごとに対策
- 自分に合った時間配分を見つける
- 2次試験は落ち着いてハッキリと
英検3級は一定の対策をすれば、捻った問題はないので確実に合格できるようになります。また、3級は高校受験の時に持っていると有利です。3級を取得することで、英語の基礎力を定着させることもできます。しっかり対策して合格を掴み取りましょう!
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