英語の紛らわしい発音の1つにBとVの発音があります。どちらも基本的に日本語ではバ行で表記されることが多いですよね。
しかし、時にはきちんと表記が分かれていることがあります。例を挙げるならば、音楽室で何度もお会いしたことがあるでしょう、こちらの人の名前です。
そう、ベートーヴェンです。日本語にない発音を表記しない方針を採っている場合は「ベートーベン」と表記されることもありますが、大抵の書籍では「ベートーヴェン」と表記されています。
余談ですがこの読み方は英語です。ドイツ語であれば「ベートホーフェン」が最も近い読みのフリガナになります。ドイツ語だとVはファ行の発音に近くなるんですよね。同じゲルマン系の言語なのに面白いところです。
……というのは置いといて。ちゃんと日本語でも書き分けられることがあるBとVの発音。どのようにして発音すれば良いのでしょうか?BとVの発音し分けの大切さ、発音の仕組み、練習方法を紹介していきます。
1.BとVの発音し分けの大切さ
BとVの発音ってかなり大切なんです。BとVが発音し分けられないと相手に通じないことも多いのです。
以下の表をみてください。BとVが違うだけで全く別の意味になってしまう単語がたくさんあります。
これらは一例でしかありませんが、BとVが発音し分けられないと相手に伝わらない、また、聞き間違えると自分も誤解するのは明白です。
日本人の耳にはどちらも同じように聞こえてしまうため、日本人の前でBとVを発音し分けてもパッと聞いて「この人の英語は流暢だ!」とはならないかもしれません。しかし、ネイティヴの人が聞けば「この人は英語を勉強しているな」と思ってくれます。
では、BとVの発音の仕組みを次の段で見ていきましょう。
2.BとVの発音の仕組み
BとV、同じように聞こえるかもしれませんが、発音の仕組みは全く違います。仕組みを知るとどうして同じように聞こえるのか、不思議に思えてくるくらいです。
Bを発音する仕組み
Bは日本語のバ行と同じ発音です。厳密に言えば母音が違うので音は同じではないのですが、仕組みは同じです。バビブベボと鏡を見ながら発音してみてください。唇はどうなっていますか?
必ず一度閉じていますよね。これがBの発音の特徴です。必ず一度口を閉じなければ発音できないのがBなのです。Bのようにして発音する音を破裂音(あるいは閉鎖音)と言います。空気が唇を突き破って出てくるイメージです。
補足すると、Pの発音も破裂音です。「パンッ」や「ボンッ」など破裂に伴う擬音語には破裂音が多く使われています。BやPの発音にはその破裂のイメージを持って発音しましょう。
Vを発音する仕組み
Vの発音は日本語にはないので、私たち日本人には少々馴染みのない口の動かし方をすることになります。Vの発音に必要なのは前歯と下唇です。
上の図を見ればわかるように、 Vの発音をする時、前歯は下唇に触れています。その摩擦による振動でVの音が出るのです。
尚、よく 「Vは下唇を噛んで発音する」と言われますが、必ずしも噛む必要はありません。噛んでしまうと振動が少なくなり音が出にくくなります。
「噛む」というのは忘れないため、あるいは、わかりやすくするための誇張表現だと思ってください。正しくは「添える」です。Vの口で声を出して「ヴィーン」と下唇が震えるくらい、前歯が下唇に当たっていれば問題ありません。
ちなみに、Vの音は前歯と下唇の摩擦を利用するので摩擦音と呼ばれます。破裂音や摩擦音などの用語を問われることは早々ありませんが、知っているとイメージがしやすいと思ったので紹介しました。忘れても大丈夫ですよ。
ここに載せた絵は作者のなけなしの画力で描いたものなので、口の構造等が少々不自然かもしれません。あくまでイメージです。
3.BとVの発音練習法
実はBとVはLとR以上に間違えやすいとされることもある発音です。しかしLとRに比べ、BとVは発音の仕組みの違いが大きいため、また、Bの方は練習がほぼ不要なため、短期間の練習でも発音を仕上げることが可能です。
ステップ①正しいVの口の形を覚える
Vの口の形って、日本語では使いませんよね。だから、英語を話す時にVの発音をしようとしても、瞬時にVの発音が使えない時があります。前歯を置くポジションを忘れてしまうんです。
ですから、気がついた時にVの口を作ってみましょう。はじめは鏡があった方が良いので、歯磨きの後でも、トイレに行った時でも良いでしょう。上唇から前歯がのぞき、下唇に接していれば正しいVの口の形です。
ステップ②発音する
Vの口を作れるようになったら、たくさん発音しましょう。意外と日常の中にVの入った英単語は潜んでいます。
例えば、衣服のベスト、国名ならベトナム、ベンチャー企業やアドベンチャーのベンチャー、車のミニバンのバンなどがあります。これらのバやべはVの発音です。
これらの単語をプライベートで使うとき、Vで発音してみましょう。多分大抵の日本人は気づかないと思います。どんどん使って定着させてください。
また、英語の文章を音読するときにも注意して発音してみましょう。have、leave、driveなどの動詞や、five、seven、heavenと言った名詞にVは含まれています。
尚、単語の頭文字にVがあるときは、前歯を添えている下唇を前に弾くようにして発音します。一方、単語の頭文字でないVの場合は前歯を下唇に添えたままです。2パターンあることを覚えておきましょう。
ステップ③早口言葉で練習する
仕上げです。すぐにVの発音ができるよう早口言葉で練習します。早口言葉は英語で「Tongue Twister」と言います。
まずはVのTongue Twister。
Vincent vowed vengeance very vehemently.
結構難しい単語が並んでいますね。vowは「誓う」、vengeanceは「復讐」、vehemently「熱烈に、激しく」という意味になります。英語上級者なら覚えておきたい単語ですが、初心者は覚えてなくても大丈夫です。
次はBのTongue Twister。こちらを発音してみましょう。
A big black bug bit a big black bear.
これだけでも良いですが、続きがあるので全文を載せておきます。
A big black bug bit a big black bear, but the big black bear bit the big black bug back.
「Bは日本語と同じなんだから練習しなくても……」と思ったかもしれませんが、やってみると素早く破裂音を連続して発音するのは大変ですよね。また、日本語の母音と英語の母音は違うので、同じ仕組みで発音しても少し響きが異なります。
Bの発音を英語化するためにも、VだけでなくBのTongue Twisterも挑戦してくださいね。
そして、BとVが混ざったTongue Twisterがこちら。
Vivian believes violent, violet bugs have very big value.
難しさMAXです。どの単語がBでどの単語がVなのか、頭で考えるとこんがらがってきますよね。パッとみて目と口が連動するくらい練習しましょう。早口言葉ではありますが、はじめはゆっくりでOKです。確実に発音しましょう。
尚、ここで発音を表記しなかったのは「カタカナで発音を捉えてほしくないから」です。
カタカナよりもGoogle翻訳などにこのTongue Twisterをコピー&ペーストしてもらって、そちらで音声を聞いた方が良いです。ついでに訳も確認できますよ。
こちらに練習動画を載せておきます。BとVの発音を確認した後、BとVを織り交ぜた文を発音します。説明は全て英語ですが、わかりやすいですよ。
+α ベートーヴェンで早口言葉
この記事冒頭で登場したベートーヴェンさんに再度登場してもらいます。このベートーヴェンという名前は、 BとVの発音練習にもってこいです。
ベートーヴェンの綴りはBeethovenです。BもVも両方入っています。ちなみに、フルネームだとLudwig van Beethovenです。
「Beethoven、Beethoven、Beethoven……」と何回も早口言葉のように発音しましょう。これで噛まずにBとVを間違えなく言えるようになったら、大分BとVの発音が身についてきています。上記の早口言葉よりも手軽なので、「いきなり早口言葉は……」という方もやってみてくださいね。
4.まとめ
- BとVは発音し分けないとコミュニケーションが成立しない大切な発音
- Bは毎回口を閉じて発音、Vは前歯を下唇に添わせて発音
- Vの口の形を覚え、慣れてきたら発音練習を繰り返す
BとVは英語を話す上で大切な発音です。そして日常の中に溢れており、コツコツ練習すればすぐに上達する発音でもあります。
しっかり練習して、BとVを発音し分けられるようになりましょう!練習あるのみです!
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